2012年4月24日 (火)

大友克洋GENGA展 2012年4月9日(月)~5月30日(水)3331Arts Chiyoda:末広町

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大友克洋GENGA展に行き、大友さんの原画をたくさん観てきました。
大友さん、ありがとう!きっと一生の宝になります。
イベントの進行諸々に、なにやかやとブツクサ言いがちではありましたが、原画をあれだけ見せてくれたんですもの。(でもやっぱり椅子は欲しかった… あと展示案内の目録には年代が欲しかったぁ)

原画はとても律儀に描かれていました。アナログなところがなんだかやっぱりイイなー、と思ってしまいました。色に関しては自分には馴染みのない蛍光がかった色彩なんだけど、これがこの世界の色ですね。単行本『AKIRA』のカバーイラストのあの色みは、あの世界ではあの色彩で世界が動いているのですね。

確かはじめに大友さんの絵を見たのはNHKの「YOU」だったと思うんです。
キーボードの破片や風船のように破裂する電球にしびれていた記憶があります。

会場は元中学校で、原画の展示枚数からこの校舎をすべて使った展示かと思っていました。
実際は1階部分だけで、思っていたほど広々とはしていなくて、見切れないのではという心配も大丈夫でした。
ただ、1巡してからまた思い切りじっくり見たので時間内いっぱい見ていました。
グッズショップは会場外なので、別枠でゆっくり見られました。
こちらもどれだけすごい量で、超激混雑も覚悟していたのですが、時間帯のためか、若干空いていました。

カラー原画は会場入ってすぐの真っ白い広めのフロアの壁沿いに展示。
『AKIRA』の白黒原稿以外のものは同じ大きめのワンフロアの4本の柱に展示。つまり4×4で16面。
会場全体は明るくて、高い位置以外ははっきりと展示を見ることができました。
愛する「Fire-ball」と、『気分はもう戦争』のメトロシーン、「愛の嵐」チックなラスト原稿が観られたのは感激だなー。
見開き原稿の端の指示書きに「絶対に折らないでください」とか天地の指定とかの生々しい走り書きを見られるのも嬉しかった。
やや新しめのチャリンコ系の絵もよかったですねー。やっぱり上手い。
メカも建造物も、あの恐ろしい『童夢』も、生の原画から伝わるペン使い、息遣いはきっと忘れないでしょう。

『AKIRA』白黒原稿は展示というより透明な保存ケース?? 
美しいけど一番上以外は覗く感じですね。でも一生懸命観ました。

場所は秋葉原にも近い末広町が最寄駅。
震災チャリティ企画だから大判振舞をしてくださったんだと思って、
貴重な機会を逃さずに都内で見ることができたのは大変ありがたかったです。

camera会場内部の写真はこちらでどうぞdownwardleft
コミックナタリー:「AKIRA」全原稿に金田バイクも!大友克洋GENGA展レポ

『AKIRA』第1巻 1984年9月 KCデラックス 講談社 (全6巻)B5判

2012年4月12日 (木)

「マンガのあなた SFのわたし」出版記念 萩尾望都×水野英子 トークショー 2012年4月7(土)13時~表参道

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≪歴史的トークショー!!≫
萩尾望都さま「マンガのあなた SFのわたし」出版記念トークショー ゲスト:水野英子先生
本についてはコチラで書かせていただいております。

前売り券は発売日に現地購入。3月24日はこどもの城でのシンポジウムと、
なんだか青山づいております。今日もやってまいりました、表参道スパイラル。
すごい方々がぞろぞろいらっしゃるはずで、前日から興奮状態です。
お昼ご飯の調達やあれやこれやで、てんやわんやはありましたが、無事に開場。
心臓バクバクです。

河出書房新社の編集さまが頑張って作られた来場者全員プレゼントの貴重イラストポスターをいただき、
グッズも購入し…。でもバクバクw
ファン友のみなさま、日頃感謝し続けているみなみなさまにまたお目にかかれたのも嬉しくて
この時点から、頭は沸騰しておりました。

watch13時開演。
司会進行は京都マンガミュージアムの倉持さん。早速、両先生のご入場!拍手!!
とにかくこの日の萩尾望都さまは、絶好調でした!
尊敬する水野英子(ひでこ)先生とのトークショーが、もう嬉しくってたまらないぃぃーーーとばかりに、
身振り手振りも大きく、時には噺家のように体もくねらせてのキュートなお話しぶり。
クールな水野先生も時折、爆笑なさるという盛りに盛り上がったトークショーでした。
萩尾さまは、お召し物、華やかに盛った御髪、アクセサリー、キランキランに輝く瞳、とテンションもあげあげ。
そのなみなみとあふれる「愛」に、呑み込まれ溺れて危うく連れ去られそうに…^^
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ringちなみに萩尾望都さまがつけていらしたのは『11人いる!』ペンダント
指輪は大きい薄いピンクの石のものともうひとつ、おそらくふたつつけていらっしゃいました。

chair両先生の背後のスライドには、
図版がたっぷりの今回の本(資料協力など:「図書の家」さま)に
掲載しきれなかった??当時の超貴重表紙イラスト・カラーイラストなどが、
大量に次から次へとバシバシ映し出され、その場が宝のミラクル空間でした。
先生方の御好意から撮影許可が下りていたので、
素晴らしいショットを(カメラの腕ではなくて^^)収めることができました。

では、印象に残ったりびっくりした内容を、「笑い」を中心にちょこっと。

まずは水野先生のこのお言葉。
美しいLOVEを描きたかった。sign03「ロマンスがなければ少女マンガではない。」
うう、カッコイイです~~ 
水野先生の低めのお声で「ラブ」とハッキリおっしゃられると、ドキリッとします。

diamond表紙の題字について、水野先生がいろんなデザインの題字を描かれることにすごく憧れているといった感じで。
萩尾さんが担当(編集?)さんに「こんなふうなのはどうでしょう…?」と探りを入れると…
萩尾さん、担当さんの口調を真似て、
「ダメだっ。ゴシックか明朝じゃないとダメだっ!」
倉持さん、
2択ですかっ…!」

karaoke萩尾さん、水野先生に2度聞き!!
水野先生の素晴らしい絵について尊敬を込めて質問を。
「先生は絵を教室とか学校とかどなたかに習われたんですか?」
水野先生、フツーに、
「いいえー。」
萩尾さん、今の答えはおかしい、もう一度おたずねしなおさなければという演出を身振りでなされて、
背筋を伸ばして、はっきりとした口調で、
「えーと!先生はっ、どちらかで、絵を習われたんでしょうかっ!」
(会場爆笑ww)

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sandclockポーのエドガーはもう描けない。
20代だから描けたというふうにおっしゃられ、
30代になったら「生意気なガキww」と感じるようになってしまったと。
って、まぁ数百年生きてるんだけど…w 永遠の少年はあくまでも幻なんでしょう。
「錆付いてしまって…。錆が落ちたら…。みなさんも若くて分別がないうちに描いてください!!」

paper先生からのお願い。
紛失してしまったり、プレゼントしてしまった当時の原稿について。
萩尾さん「もしも、まだ持ち続けて頂いていたら、どうかスキャンだけでもさせてくださいっ。」
倉持さん「ということですので、お持ちの方、もし会場にいらっしゃいましたらどうかよろしくお願いします!」

萩尾さんマッサージに行く。
「一時間に一度は立ち上がって、背伸びをするようにと言われます。」

clock大公開!萩尾先生の一日。pen
「(昼の)11時か12時に目が覚めて、食事をして、韓流ドラマかなんかを見て(笑)、13時頃から仕事をする。
19時にNHKニュースを見ながら1時間くらい食事をして、また仕事をする。2時か3時ごろに休む。」night

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shadow萩尾さん、悪人を描くのは楽しいと気がつく。
『残酷な神が支配する』のグレッグについて、
「描く前は、描くのが辛いだろうと思った。」
「ネームを始めたら悪人を書くのは快感だった。描くのが面白い。」
「今まで(自分の中に)積もっていたものを、描きながら消化していった。」
「描く事で相対化できる。客観視できる。」
「(今までの)家族に対して抱えていたものを、クールダウンできた。」
「よしながふみさんが指摘してくれた。」

倉持さん「私はサンドラを見ているとどうもイライラしてしまうんですが、サンドラを描くときは?」
萩尾さん「うーん、サンドラ…。謎の人ですね…。見ないふりをする。」

今後の予定・ご活躍について。
drama萩尾さん「今年はパリパリした年です!!」
「7月のパリのコミケで、販売をやっておりますっ!!」

crown水野先生の新しい本『マンガで見るオペラ入門』(仮題)の告知の際、スライドが出ないミスがあったのですが、
こちらのサイトのイラストだったのでしょうか。
6月19日発売と決まったとのツイートを水野先生自らがされました!
※水野英子先生の公式HP
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夢のような時間でした。
あんなに幸せそうできゃっぴきゃっぴの萩尾望都さま。
ご退場なさるとき、両先生は舞台の前面から会場を通って退出されたのですが、水野先生は中央の段(一段だけの踏み台)に気がつかれなかったのか端の方から50cm?程の高さの舞台をぴょんと降りてしまわれました。最後まで水野英子先生を大事にエスコートなさろうとしていた萩尾さまのお姿を拝めてしまった喜びで、胸がパンクしてしまいました。歴史的瞬間を目の前で長々と見てしまった、拝見させていただいた超貴重な一日でした。

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『萩尾望都作品目録』さまがみなさまのレポートをまとめてリンク集を作ってくださっています。
きちんとしたレポートはこちらのサイトをチェックしてみてくださいませw
ファンなら必須のサイトですね!!
目録と銘打っていることからも、作りが専門的で閲覧にちょっとしたコツがいりますが
サイト内検索を使えばなんとかなりますw
ぜひRSSなどを活用して情報チェックを~!

new【ニュース】(チラシより告知)
『萩尾望都対談集 第2弾 1980年代編』2012年5月中旬発売予定!!
伊藤理佐さんとの新規対談も掲載!

嬉しいです。もっと待たねばならないのかと思っていたのでこんなに早くてスゴイ。
それも大好きなリサっちとモーさまがおしゃべり(笑)だなんて。
またまた面白いこと言って下さるに決まっております!!

2012年4月 4日 (水)

シンポジウム「女性と原発」【後半】2012年3月24日(土)14時~青山「こどもの城」

【前半】からの続きです。

最後に萩尾望都さんのお話の番になりました。
萩尾さんはおひとりが長く話されることに少し戸惑ったようで
「こんなにひとりで長くしゃべるとは思っていなくて…」
とお隣の席だった小谷真理さんに助けを求めるふうに話され、小谷さんもすぐに
「あ、では私が聞き手になりましょう。」というふうに答えられ、
インタビュー形式で話が始まりました。

karaoke小谷さん「では、3月11日のことを」というふうに進められたあと、萩尾さんが震災当日とその後の強い不安について語られました。
「どう世界をつかんでいいのかわからなくて楽しいことをなんーにも考えられなくなって不安でざわざわとして、落ち込んでしまったんです。」
誘ってもらったお花見の席で、チェルノブイリでは菜の花・ひまわり・麦を植えて土壌を改善させているらしい、福島でも実際に植えている所があるというお話を聞いたとのこと。早速ご自身でパソコンで確認され、やっと楽になったと話をされていたとき、感極まれ涙声になってしまわれました。
「せめて…花が咲けば(描ければ)いいと…」
すぐに普通に話を続けられましたが、聴いていた多くの方にとってもショックだったのではないでしょうか。
この場面に立ち会わせていただいたことで先生がなんとしてでも「なのはな」を描かなければ精神的にも立ち直れなかったんだということが、はっきりしみ入ってきました。衝撃でした。実際シンポジウムが終わったあと少しロビーで休んだのですが、一緒になったファンの方々も少しぐったりとされていました。原発に関する悲惨なお話からのストレスもあったと思いますが…。
除染効果を発揮すれば放射性物質を含んでしまう植物にも、一面に咲く花のイメージに助けを求めたかったのでは、と感じました。

pouch原発には大きなお金が動くという話になり、
萩尾さんが「今こんなことになって、こんなたくさんのお金が泥になろうとしている。」
小谷さんがチェルノブイリの石棺について、耐用年数が30年で30年経ったら作り直す、延々とそれを繰り返すということはそこに大金が注ぎ込まれるという話をされ、
萩尾さんが「すごいですねー。」
「現実がSFになったような、本当に現実なの?SFの世界じゃないかしらと錯覚してしまう。」

このとき個人的に印象が残ったのは、2011年10月10日にダンサーの笠井叡氏とのトークでお話されていた、お金が泥になるという表現を用いていらしたこと。(ユダヤの詩人パウル・ツェランの言葉『一万オンスの金塊が、一万オンスの泥に変わる。』)

原子力を扱った作品で話題に上がったのが、手塚治虫さんの「鉄腕アトム」、小松左京さんの作品、山岸凉子さん「パエトーン」(1988年作品)、清水玲子さん「月の子」。

山岸さんの「パエトーン」について萩尾さんは「(当時)最新の作品でした。すごいなーと思って、すみません、(その時は)それで終わってしまった。」
≪参考≫チェルノブイリ原子力発電所事故(1986年4月26日)

book単行本『なのはな』について簡単に説明され、
「(短編の)『なのはな』は、自分が落ち込んでいたもんで、ドキドキ感をしずめようと思って描いたものですから…」
「それで擬人化三部作は、やけっぱちの話です。」と。
描き下ろしの「なのはな―幻想『銀河鉄道の夜』」は「常磐線賢治版ですw」


『萩尾望都作品集 なのはな』2012年3月9日発売 3月12日初版発行 FLOWER COMICS SPECIAL 小学館

karaoke萩尾さんのお話
お知り合いで、お母様が17才で広島で被爆をされ結婚も出産もして80才で血小板減少症になり年に4回入院をして今に至っている。結論として原因はわからない。今後の日本もガンが増えるのかどうなのかなど、長いスパンで見なければわからないという状況に置かれている。前頭葉を働かせて、「今の話」だけれど「未来の話」と見て考えなければ。目に見えない戦い。全員が被検体。医療機関は記録をとってくれないのかしら…。



『いまこそ私は原発に反対します。』日本ペンクラブ編 2012年3月1日初版 同日発売 平凡社
50人以上の執筆者による手紙、小説、詩、短歌、俳句、批評、エッセイ集
こちらの本に萩尾望都さんは『福島夢十夜』という短編小説を寄稿されていらっしゃいます。

この本のあとがきによると、震災後の悔しさをバネに、急遽出版へと踏み出した過程が書かれています。同じく日本ペンクラブ編で2004年に出版された「それでも私は戦争に反対します。」のインパクトを持った姉妹版を目指し、原稿依頼の一か月後が締切という強行軍のなか実現したとか。それもあってか創作ものが少なめとあります。萩尾望都さんもかなり大急ぎで頑張って仕上げられたのではないでしょうか。創作というよりご自身がそれまで調べてこられたこと、震災と福島原発事故後の状況などをこの場でぶつけているようにも受け取れます。(ちなみに小松左京さんの小説に「くだんのはは」という怖~い話があるのですね。)ただ、今回のシンポジウムではこちらの短編小説についてのお話は確かありませんでした。本のラストで山岸凉子さんが『思考を停止してはならない』という題で2ページ分の原発への怒り、思いの丈をとてもはっきりと主張なさっていて流石だなぁと思いました。
シンポジウム終盤にセルゲイ・ミールヌイさんが、現地でも「ヒバクシャ」という日本語が使われていること、結婚ができるのかといった不安の声など日本でも同じことが言われるだろうと話されていました。
以上中途半端ですが、書き留めのまとめです。

≪参考≫

「それでも私は戦争に反対します。」日本ペンクラブ編 2004年3月9日発売 平凡社

【注】こちらの書き留めはメモによる書き起こしであり、きちんとしたレポートとは程遠いものです。あくまで当日の様子を少しでもお伝えできればという意図で書いておりますので、もれ・抜けなどがありますこと、どうかご了承くださいませ。

シンポジウム「女性と原発」【前半】2012年3月24日(土)14時~青山「こどもの城」

シンポジウム「女性と原発」
~女性作家は、福島の原発事故をどう捉えたか?未曾有の事態をふまえ、脱原発世界への展望を探る~

日本ペンクラブ女性作家委員会・東京外国語大学亀山科研共催

開催日:3月24日(土)13:30開場 14:00開演 16:00 閉会予定
会場:東京青山「こどもの城」9階研修室
参加費:500円
(事前申込不要。先着140名 12:30から会場入口で入場整理券配布)

総合司会:宇澤美子(慶應大学文学部教授・英米文学者)
開会挨拶:下重暁子(日本ペンクラブ副会長・作家)
出演:
中島京子(作家)、
沼野恭子(東京外国語大学教授・ロシア文学者)、
萩尾望都(漫画家)、
小林エリカ(作家・漫画家)

特別出演:セルゲイ・ミールヌイ(作家・ジャーナリスト)
コーディネーター:小谷真理(女性作家委員会委員長・評論家)       <以上敬称略にて失礼いたします>

sprinkle今回、萩尾望都さんが忙しいスケジュールにも関わらずご出席されると聞き参加させていただきました。原発についてのシンポジウムということでファンモードを抑えて、真面目に考えようと、日頃気になる放射能のこともわかりやすく皆さんのお話からうかがえるかもしれないと言う気持ちで行ったわけです。なぜ11時台には会場に着いてしまったのか、そこにはよくお見かけするファンの方々がいらっしゃたのか、まあでも真面目にシンポジウムに参加しようという意欲はもちろん変わりませんでした。

会場が数日前に変更になったことで整理券配布時にちょっとゴタゴタはありましたが、13:30に無事に入場。
総合司会の宇澤さん、下重さんからの挨拶のあとセルゲイ・ミールヌイ氏が通訳を介してお話し。
順に小林エリカさん、沼野恭子さん、中島京子さん、萩尾望都さんとお話が続きました。
それぞれの方がされているお仕事・ご活躍内容、このシンポジウムに参加された動機などでした。
これが意外にもお一人お一人が長く、シンポジウム(討論会)部分は最後にほんの少しというか紛れこんでしまったようだったのが残念でした。せっかくとても精力的にお仕事をなさっている方々が同じ場所に集まってお顔をそろえられたのですから、ぜひお話し合いを繰り広げる場面を拝見したかったものです。

karaokeセルゲイ・ミールヌイ氏は、チェルノブイリでの事故処理者(リクビダートル)を経験した内容を本にされたウクライナの作家・ジャーナリスト。事故当初はアマチュアの作家であり、民間の科学者であった。事故により軍に召喚され35日間リクビダートルとして働いた。線量計での数値が高かった地区の村の人たちに「もうここには住めない」と伝えなければならないのが精神的にとてもきつかった。
その後チェルノブイリに関する作品を読んでも納得がいかず、自分が書こうと思った。試行錯誤が繰り返されたが11年後にやっと作家としてやってもいいと思うことができた。作家の仕事はリクビダートルと同じくらい重要だと思っている。私達が25年前に経験したことを日本の方々も感じていると思う。作家として、チェルノブイリでの事故を体験した人間として、力になれればと思っている。
(書籍は未訳)

小谷真理さんが
「福島での原発事故後、ニュースなどを見ていても男の人ばかりが出てくる」というようにおっしゃられ、これが今回のシンポジウムをしようと思われたきかっけとのこと。セルゲイさん以外全員女性でした。

小林エリカさんはとても可愛らしい感じの漫画家・作家さん。ナチュラルなカフェが似合うイメージです。まず18才の時に作ったというアニメーション作品「爆弾娘の憂鬱」(1998年)の上映がありました。「ダウナーちゃん」というウランの子が登場して、最後の討論会の場では、萩尾望都さんも「まぁ、18才で。」と興味深くメモを取られ、「無邪気な大胆さを感じるアクティブな作品」と評されました。「やはり放射性物質は女性に擬人化されますね」と萩尾望都さんの擬人化三部作のお話が出たりしました。


沼野恭子さんはロシアのふたりの女性作家の書籍を紹介されました。


book『チェルノブイリの祈り』1998年12月18日発売 岩波書店
スベトラーナ・アレクシエービッチ(ベラルーシ出身 1948~)/著
チェルノブイリでの証言集(紹介は書影の単行本でしたが岩波現代文庫版も出ています)

book『クィシ』2000年モスクワ刊行・未訳
タチャーナ・トルスタヤ(1951~)/著
短編の名手と言われるトルスタヤさんが書いたSF長編小説。「大爆発」後の世界では生物だけでなく言葉さえも突然変異を起こしている。題名の綴りもロシア語としておかしくしてある。


中島京子さんは、自分は普段ちょっとおもしろおかしい小説を書いているが、3月11日の震災が起こるまできっと日本は大丈夫だと思ってしまっていた。原発が事故を起こし、毎日原発のことを考えるようになった。それまでわからなかった原子炉などの構造を絵でかけるようにまでなってしまった。放射線の単位の勉強もしたし、しないではいられなかった。小説家だからではなく一人の大人として市民として、そうしなければいけないと思い、この場に出てきた。
とても素直に感じていることをしゃべってくださり共感できました。


『いまこそ私は原発に反対します。』日本ペンクラブ編 2012年3月1日初版 同日発売 平凡社

こちらの本で中島京子さんは、実験的な試みとして子供のためのルール、おもてであそばないなど「よいこのルール」を箇条書きにして羅列しています。それに続く楽しそうな創作レシピ集も放射性物質に気を配る箇所が日常の目線で登場します。

pencil長いので2つに分けました。【後半】に続きます。(時間がちょうど半分だったわけではないです。m(_ _)m)

2012年3月31日 (土)

「マンガのあなた SFのわたし 萩尾望都・対談集 1970年代編」


2012年2月22日発売 2月28日初版発行 河出書房新社 定価1,470円

先月、萩尾望都さんの対談集、第1弾(!?)1970年代編が刊行されました。
70年代編ということで、なかなか見ることのできない当時の貴重な絵、雑誌掲載時の図版やお写真が、気合と愛をこめて載せてあり、作り手さん側の意気込みがヒシと伝わってくる一冊です。かなり傷みの激しいお写真も根性で?載せてくださっていて、新刊書に入れるのは常識破りでもあったんではないでしょうか…。コアファンにはたまらない熱の入れようです。

ちょうどこの本が出ると知った頃、手塚治虫さんの対談集を読んでいるところでした。このようにすっかりのめり込んでしまっているものにとって、この本は大変にありがたく購入するのは空気を吸うよりも当たり前なわけですが、では作品だけ読んでいれば満足という方にはどうなのか。若かりし頃の萩尾望都さんの魅力的な発想からくる言葉の数々。タイムスリップしたように感じることのできる当時の大物方とのスゴイ会話。新たに語りおろされた羽海野チカさんとの熱々のやり取りなどに、食指は動かないのだろうか。(またよけいなことを…)

内容について特に面白かったところをあげようと思ったのですが、どこも面白くてムリみたい。さすが手塚治虫さん小松左京さんいろんなことよくご存知でいらっしゃる!手塚さんが萩尾さんに「あなた、どうですか?」とかたずねているのを読むだけでもワクワクです。読んでいると活き活きとしゃべっている萩尾さん、水野英子さん、石森章太郎さん、美内すずえさん、寺山修司さん、松本零士さんのお声がすぐそこに聴こえてくるようです。

今は書店にバコバコ積まれていて、お宝度・貴重度が隠れてしまっていますが、本来このようなお宝が当たり前のように手に取れるというほうが不思議なはずなわけです。とりわけこのカバーと帯に使われたイラスト!もちろんカバーとか帯とかなので字などがかぶさってしまっていますが、これこそ掘り起こされた貴重な資料の象徴といえましょう!帯のカラーイラスト、見つめ合うエドガーとメリーベルの澄んだ瞳と美しい衣装といったら!エドガーの御御足。メリーベルの手は手はっ。(貴方どこに手を置いていなさるのかっw)
銀で印刷されたカバーの絵も、「'76ポーの一族カレンダー」でしか使われたことがないという(下記詳細参考)大変希少でめずらしいというだけではなく、とにもかくにも美しい当時のペン使いがポーやトーマといった「あの世界」を眠りから呼び起こしてくれます。

ぜ~んぜん説得力がありませんが、ぜひともものすごくたっくさんの方々に手にとっていただき、第2弾、第3弾…の刊行をかげながら応援しつつ待ち望みたいものです。

≪詳細≫につきましてはリンクを貼らせていただきます。m(_ _)m
図書の家「BBS図書の中庭」より:資料協力をされた「図書の家」様直々のご紹介記事
カバーイラストの初出について:同じく「BBS図書の中庭」より
コミックナタリーより:表紙・カバーイラストが大きめの画像で見られます。
「萩尾望都作品目録」より:それぞれの対談の解説をしてくださっています。

2012年3月30日 (金)

新装版発売「愚か者は赤を嫌う」えすとえむ/著

【注意】BL作品について書かせていただきます。主に新装版と旧版の違いについてです。
このブログはとくにテーマを決めていないのです。だからといってこのように何でもごっちゃまぜはマズイのではと思いつつ、興味のあるものとなると書かないわけにはいかず。いわゆるBL語りもしていないと思いますし、ストーリーにはほぼ触れておりませんが、どうか興味が全く!ない方は閲覧をご遠慮下さいますよう、よろしくお願いいたします。
※手直し入れております。

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3月30日頃に、小学館のIKKIコミックスから新装版が出ることになったえすとえむさんの「愚か者は赤を嫌う」。
2007年頃のBL作品集です。わりかしエロチック度の高い作品群であるので、BL専門レーベルではないそれも大手の小学館から出版されることに、どんな反応が起こるのか、見ているこちらもハラハラドキドキです。ただ「月刊IKKI」自体、新しいことをしていこうという意欲とノリの良さ、質の高さへの強いこだわりを感じさせる青年誌だと思っていますので、とっても喜ばしいことと受け止めております。


新装版 
2012年4月4日発行 IKKI COMIX 小学館


2008年2月7日初版 メロメロコミックス 宙出版

手に取ろうかなーと迷っている、または興味をもって手にはとってみたけれどもやっぱりどうも男×男はなぁ~、と思っているそこのあなたサマ!どうか一読でご判断されませんように。じわりじわりと「くる」作品ですので、セリフが全くないシーンも映画に身を任せるように、ぜひじっくりとゆっくりと情緒をかみしめて読み込んでみてくださいませ。

ちなみにBL初めてでえすとえむさんの作品の中でならば、「equus」をおすすめしますでしょうか。ライトな「ハッピーエンドアパートメント」「キネイン!」もいいかもかも。ただこの時期はまだ、万人受けというよりかは好きになる人はとことん好きになるというタイプの作品を描かれていた、と感じております。今、青年誌「月刊IKKI」に連載中で単行本第一集が出たばかりの闘牛マンガ「ゴロンドリーナ」は作者が受け入れやすさを意識してとても熱心に勉強し取り組まれた作品だと思いますので、こちらから読まれるのがスタンダードでしょうか。でも次にいきなり「愚か者…」で大丈夫なんだろうか??おかしな不安がモンモンとする今日このごろです。

carouselponyつい先日、ツイッターでえすとえむ先生ご本人様が、
「このコミックスの中に致命的な間違いが一ヶ所ある。クイズにして発表後みんなに笑って欲しい。」
という内容のツイートをされました。「スペイン関連で、すぐ見つかると思います。」とのヒントまでいただき、居ても経ってもいられずに、さっそく捜索にかかったのですが、ついこの間読み返したときも、こうして目を皿にしてくまなく探してみても、「致命的」と思われる箇所がみつけられず、とうとう数日かけて7~8回読み通してしまいました。読んでいるとセリフがないところでも入り込んでしまうんですよね。

クイズはさて置き、こうして繰り返し読み返したことで、この作品自体とえすとえむさまの創作にかける熱のうようなものをさらにさらに好きになってしまったわけです。

表題作「愚か者は赤を嫌う」は闘牛を扱った職業マンガとしても濃いい作品。闘牛士と牛の解体士との運命的な出会いと無二の関係性が、闘牛好きの作者によって美しく情緒豊かに描かれています。そもそも自分がBLというジャンルのマンガを手にとったのはつい昨年のことだったのですが、こんなにも思いっきり純愛を描ける場所があったことにビックリしました。この「愚か者は赤を嫌う」に登場するふたりも純愛そのもので、男女の恋愛ものだったらすごーくクサくなりかねないセリフやシーンがするすると頭を突き抜け脳の奥深くにぐぐっと刺さってしまいました。BLというくくりにとらわれることのない完成された何度読んでも味が出る美しい傑作と思っています。(参考ツイート:テーマについて(1)(2)(3)

他にこの表題作の番外編(旧版時点での描き下ろし)と
女性向けではない男性向けの雑誌に掲載された2作品、靴を扱った作品とサッカー好きが登場する作品。
最後に、モーリス・ベジャールが亡くなったときに泣きながら描かれたというバレエを扱った作品が収録されています。
どの作品にも作者の好きなもの、描きたいという思い入れがたっぷりつまった短篇集と言えましょう。

cute新装版と旧版の違いは、描き下ろしのカバー絵と描き下ろしあとがき2ページです。
カバーの紙質がツヤがあった紙からマットな紙に変わっています。もとのあとがき2ページに加えて、新たなあとがき2ページが収録されています。どちらも闘牛を観に行かれたスペイン旅行記です。収録作品は同じ。巻頭の表紙がカラーではなくなり白黒です。これは限りなく残念です。絵はカバーと同じですが色の表現が違っています。

内容で気が付いた限りでは、絵は大きなところで一箇所手を加えられていらっしゃいます。個人的にはうーーーん。好きだったんだけどなー、前の表情…。ほかはすこしだけ口元とか?手を加えているようにも見えます。あと作品と作品の間にいれている紙が旧版では白で、新装版では黒です。全体で使われている字体が少し違うのと、全くなかった句読点が全てについているようです。印刷は新装版の方が繊細です。紙は旧版の方が若干厚みがあって白いです。
中身ではないですがアニメイトさんで特典ペーパー付きがあるようです。あとは、はさんであったチラシがえすとえむさんの「ゴロンドリーナ」第一集のすごく大きなカラーの折り込みチラシでちょっとびっくりしました。力の入れように。

えすとえむさんが今まで描かれた作品を調べさせていただいた時、書影の印象から一番読みたいと思った単行本でした。BLを初めて手に取る方には、正直すすめるのが怖いですが、作品としての完成度、魅力的な美しい世界観は、虜になるに十二分だと思います。


wine「愚か者は赤を嫌う [新装版]」えすとえむ/著 
2012年3月30日頃発売 4月4日発行 IKKI COMIX 小学館

愚か者は赤を嫌う episode 1 『メロメロVOL.1』2007年3月 宙出版
愚か者は赤を嫌う episode 2 『メロメロVOL.2』2007年6月 宙出版
愚か者は赤を嫌う episode 3 『メロメロVOL.3』2007年9月 宙出版
円卓の死者 旧版『愚か者は赤を嫌う』単行本描き下ろし 宙出版
BABY,STAMP YOUR FOOT. 『激男VOL.8』2007年3月 古川書房
Tiempos extra 『激男VOL.9』2007年6月 古川書房
リュミエール 『メロメロVOL.4』2007年12月 宙出版
旧版 あとがき
新装版 あとがき

2012年3月22日 (木)

パコ・ロカ氏を迎えて 2012年2月25日(土)15:00~ セルバンテス文化センター東京

『パコ・ロカ氏を迎えて』- セルバンテス文化センター東京(四谷・市ヶ谷)6階フェデリコ・ガルシア・ロルカ図書館

先の記事から間が空いてしまいましたが、引き続き先月の2月25日に行われましたトークイベントの様子について書かせていただきます。

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セルバンテス文化センターはモダンできれいな建物。
その中の白を基調にしたカッコイイ図書館の一角に机を四角く並べて、ちょっと会議するっぽい感じでトークイベントが始まりました。短い方の一辺に向かって右手から、館長さん、「皺」の訳者の高木菜々さん、パコ・ロカさん、同じく訳者もされた小野耕世さん。角を曲がって、ユーロマンガの編集長さん、ツイッターでもおなじみのバンドデシネ(BD)PR大使のべデくんが座っていらっしゃいました。

karaokeこの日のトークショーは、意外にも少人数でホントに内輪の会といった様子。すぐそばでお話を伺えました。23日(木)のアニメーション上映・講演会も盛況だったようです。

子供の頃からマンガを読むのが好きだったというパコさん。
最初に読んだ日本のマンガは『AKIRA』(大友克洋)。衝撃的で、ストーリー展開などに驚いた。バイクが走るシーンだけで数ページ使っていることにも、ビックリしたそうです。間合いなどの表現方法を、それまであまり見たことがなかったようです。
のめり込んだのは、フランク・ミラー、アラン・ムーア。(うんうん、かぶっていて嬉しい…)

はじめの頃はポルノマンガの仕事をしていたが、いまはもうしない。
日本のマンガ家事情でもっとも驚いたのは、出版社と契約をしなくても描いていけること。かつては著作権を持った出版社の下で「労働者」のように働いていた面があり、著作権を作家が持つのは夢のような話だった。この辺のことは2010年刊行「マンガ家の冬」(翻訳はまだ)で描いているそうです。

そして、日本のマンガ表現での擬音語(擬声語)・擬態語「オノマトペ」の豊かさについても話されていました。
「昨日はジブリ美術館に行ったんだけど、そこで短編アニメーションを観ることができて、その中のひとつは全部がオノマトペだけの作品だった。」と、とっても楽しまれたご様子でした。

BD作家さんの創作ペースが日本のマンガ家と違うことは知られていますが、パコさんがおっしゃったのは、1年間にバンドデシネ(BD)2作品を描けばだいたい生活ができる、とのことでした。日本の人気のあるマンガ家の描く量の多さについては、タイヘンそーといった感じ。
「昨日いっしょにいた女性のマンガ家は『私なんて1ヶ月に60ページも描いている。せめて30ページだったらどんなにかよいか。』と言っていたヨ。」

「皺」の色彩について。
司会進行係&通訳もご担当の高木奈々さんや館長さんが直々に、どうぞみなさん質問をしてくださいと勧めてくださいます。
いつ質問をしよう、とお話しを伺いつつ「皺」をパラリパラリとめくって美しい色彩を眺めていたら、
小野耕世さんが「ページごとに色のトーンが工夫されていますね。」
パコさん「いかにストーリーを伝えるか、その中でも色彩は心象風景を表す重要な要素です。」

小野耕世さんが海外と日本のマンガ事情についての質問や考察などもされていらっしゃって、それも興味深かったのですが、個人的にはパコさんご自身のことについてもっとお聞きしたかった~。一番伺いたかったのは「きのう何食べたww(よしながふみさん風)」だったんですが(笑)、なかなかタイミングをつかめず3度ほどチャンスを逃し、撃沈…
お忙しいスケジュールの中でも、日本食を楽しまれたんでしょうか…。

パコさんは、今後はスペイン国内でペースを保って描き続けたいとおっしゃっていました。

penトークイベント終了後は、撮影もサインもOK。
パコさん、本当に気さくで笑顔もチャーミングな方でした~。とっても小柄なのも魅力的w
サインは、さささっと豪華にイラストも描いてくださり、それもいくつかレパートリーがありました。
「灯台」の原書には灯台の絵をこれまた美しくすらりすらりと。

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それにしても、来ているみなさんスペイン語をペラリペラリと話されて、翻訳前に原書で読んでいる方も多かったようで、翻訳本にうかれているアタクシって…。でもやっぱりBDがどんどん日本語に翻訳されていくのはうれしいし、ありがたいことです。先日偉大なBD作家、メビウス氏が亡くなられましたが、作品は永遠です。繰り返し読み続けたいです。

帰りの道すがら、イベント終了後に少しお話しをさせていただいていた方と、またおしゃべり。
BDを原書で楽しまれているそうで、日本のマンガはどんなものを?をたずねると、「はぎ…」「!!えっ」ということで、萩尾望都さんの作品も読まれている方でした^^(なんでココに着地…)日本の少女マンガの美しいカラーページもパコさんに見てほしいですよねー、ということで意見が一致しました。

はじめて海外の作家さんに身近に接してお話しを聞くことのできた、貴重な一日でもありました。
とくに通訳のかた、ぶっ続けで司会とほぼ同時通訳をこなされて大変おつかれさまでした。
ありがとうございました~carouselpony

2012年2月22日 (水)

パコ・ロカ氏の『皺』

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2011年8月10日初版発行
パコ・ロカ/著
小野耕世・高木菜々/訳
小学館集英社プロダクション/発行


「皺」と「灯台」の2作品を収録

ひと粒で2度美味しい
なーんて、ささやかなものではなくて…


「皺」:
気がつかないほど控えめな美しい色彩
気がつかないほど控えめな登場人物の表情の豊かさ

作者のパコ・ロカさんが、心から描きたいものを
丁寧に、丁寧に、でも大事にしすぎず抱え込まず、じっくりと編み出した一編

目に映るもの、心に感じているもの、
スープを飲むこと、シャツのボタンをかけること
オリエント急行に乗る婦人の瞳の奥底に語られる物語
ああ、イスタンブールへ行ってしまいたい…

「描き上げた時は、こんな退屈なテーマのマンガなど、だれも読まないだろう----という気分に襲われました。」
帯の推薦文をえすとえむさんが書いています。
翻訳も、とても自然でしっくりときて、読みやすかったです。
「老い」についてよくわからなかったり、向き合うのが辛い方も手にとってみやすい本かも。
老いるのは怖い、ただただ怖いと思っていたところもあったのですが、
この作品を読んでそれだけではないと感じるところがありました。
パコさんも子供のころから読んできたという「タンタンの冒険」が好きな方にもいいのではないかなと思いました。


「灯台」:
潮の香りで満たされた、海辺の、海岸の、灯台守の物語
灯台…
なんて、ロマンチックなんでしょう
遠くの方から波間をぬけて何かがやってきてしまいそうです
私の頭の中では題名を「船」とか「霧笛」とか言ってしまいそうになるくらい…
それに、おじさんの腰まわりがサイコーですw
いえいえ、おはなしは全然ふざけ気味なところはありません

こちらの作品は、寄せては返す波のようになんども反復されて
おもてに現われるたび、少しづつちがう姿を見せるのでしょう
静かにゆっくり入り込みたいお話です


この本は、ひとりの大事な本としても、図書館の本としても、長くずっと読み続けられる本。

インタビューもたっぷり掲載。ご本人による再版時の描き直しエピソードやスケッチなども嬉しいです。
オレンジを効かせたこれまた控えめな装丁も美しいし、紙質も好き。
ついでにBDだけど重すぎなくていいです^^

yachtそして只今、ロカ氏、来日中!!
つい先ほど、文化庁メディア芸術祭のマンガ部門受賞者シンポジウムにて、
さいとうちほさんの進行のもと、岩岡ヒサエさん、しりあがり寿さんとともにたくさんお話しされていました。

 朝は7時ごろ起きてパジャマのまま8時から仕事をし、お昼にプールに行ってまたパジャマに着替えて仕事をする、というパコさんの一日の過ごし方を聞いたさいとうちほさんは、「優雅でいいですねー」ととても羨ましそう。
 しりあがりさんは、「皺」のような作品がどうして日本で作られなかったのか、評価をされるヨーロッパが羨ましい、とも。
 また、さいとうさんは重いテーマなのに読んでいてあたたかさや安心感を感じた、とおっしゃっていました。
 パコさんはマンガ市場のこともたくさん話されていましたが、やはり締切前の修羅場が定番の日本とはだいぶ事情が違うようで、特にバンド・デシネの場合だと思いますが、ひとつの作品に1年以上手をかけられる、儲けをあまり考えずに創作できる分それによって得られる収入も少ないがリスクも少ない、など作り込みに余裕があるようでした。

 次々とBD(バンド・デシネ)が翻訳されていて、こうして注目作品も現われてきていますが、
しりあがり寿さんの『あの日からのマンガ』もぜひ翻訳されて広く読んでいただきたいものです。
震災があって、自分にはそこに描けるメディアがあったというしりあがりさん。
さいとうさんは萩尾望都さんの一連の作品についても話題にあげられていました。

 スーパーマンなどのアメリカンヒーローものが好きではない、毎月30ページを描くというのも好きではないというパコさん。
今後はスペインの市場でスペイン向けの創作をしていきたいとのことでした。
自分のペースで好きなように創作したいということだと受け取りました^^
最新作は『パジャマを着た男の記録(記憶?)』
また、今週セルバンテス文化センターではどんなお話をしてくれるのでしょうか。
楽しみです。

2012年1月 6日 (金)

『ねえ、いっしょに服を 縫わないか?』高野文子さんの展示 2011年11月22(火)~12月12(月)

年が明けました!
といいながらも昨年の記事の続きになるのですが、12月に終了いたしました展示の概要について
もう少しくわしく書かせていただこうと思います。
実際に展示を見に行った時の様子はコチラです。

展示会名:『7Stella’s Christmas~ななつの夢見星~』7人の女性作家によるクリスマス展

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会場:吉祥寺「カフェゼノン」

開催期間:2011年11月22(火)~12月12(月)

会場がカフェということで、飲食の注文が必要

メイン展示は2階の壁際の展示ケース
絵画などは店内のあちらこちらの壁

展示会の作品とは別に、店内には常時、作品(マンガ系・アート系)が点在


hairsalon高野文子さんの作品は、2階の展示ケース内、1階壁に複製画1点、1階の柱にオーナメント3個

開催中にさべあのまさんが高野さんの代理で記事立てをしていっらっしゃるので、
展示のお写真や複製画詳細については、下記のリンクよりご覧くださいますようよろしくお願いいたします。

高野文子さんの出品作とグッズのご紹介

7s


『ねえ、いっしょに服を 縫わないか? タカノフミコ』

案内のおハガキなどでは「ねぇ、いっしょに服でも ぬわないか?」になっています。

赤い服のまわりに、赤青鉛筆によるイラスト&メッセージ。
大きく分けて、服の右上・左上、右下から左下にかけて数枚づつのイラスト&説明書き。
まず右上から青い画用紙にタイトルを赤い字で、お名前を青で。

語り部役は、小さな女の子(?)の高野さん(の分身??)
展示にある赤い服を着ていて、ぱつぱつのおかっぱ頭(またはストレートなワカメちゃんカット?)です。
「だよ」「なんだ」という語りかけ口調で、服についてと制作過程の説明をしてくれています。

まず、踊るようなポーズでこの服が手縫いであることをアピール。
かわいらしいです。
もとはラップランドの民族服とのことで、民族服を着た男の人ふたりのイラストもありました。


次に左上の4枚では、使う糸と針についての説明。
なつかしいダルマ印の糸のイラストや、紙をつたって描かれた赤い糸がほのぼのしています。

右下から下部真ん中にかけて、また女の子(タカノさん)が登場して、
この赤い服が載っていた古い本を紹介してくれています。

「シャスティンさんの服づくり―生活の服2―」(シャスティン・ロクランツ著 山梨幹子訳 文化出版局 1978年)
赤い表紙の書影と型紙の掲載ページがミニチュア版で紹介

ミニチュア版の上から指をさしながら見下ろして説明をする女の子がまた可愛いです。


さいごの左下
この本(もとは婦人公論の連載)を見て、いままでぼうしやかばんなどを作ったそうです。
復刻をご希望されているということで展示を締めくくられていました。

展示上部のプロフィールパネルの抜粋を紹介しますと

高野文子 
●職業 : 漫画家
●制作手法 : 紙・布・糸など
●プロフィール
新潟県生まれ
「80年代に少女まんが家としてスタート」とありますが「昔のこと」と記述があるので
くくりにはいないとの姿勢でいらっしゃるようです。
「今はハウツー漫画を描くのが楽しみで、見てかわいく読んで役に立つ、実用ものを描きたい」そうです。
「パソコンはうとくて、キーボードは人差し指2本で打ってます」とのこと。
「絵を描くなんてまずムリ」とおっしゃっていますが、
高野文子さんの絵柄は、アナログな方面での良さがしっかりとあるけれど、
パソコンとの相性も悪くはないと思うので、2本指でも面白いことができそう、と思いました^^

以上、なんとかまとめてみました。
事前に、イベントスタッフ方のStella Sevenさまに確認させていただきましたところ
著作権があるので、概要にとどめてほしいとのことでしたので、
不得手なのですが、詳細をまとめさせていただきました。
不都合な点などありましたら、ご指摘くださいますよう、よろしくお願いいたします。/>

2011年11月30日 (水)

萩尾望都さんのネーム(in 秋の吉祥寺 その2)【1月24日追記】

井の頭公園は、気持ちの良い秋晴れで、マンションも青空に映えています^^

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さあさあ、吉祥寺パルコの地下、リブロ吉祥寺店へ~

開催中の『長嶋有漫画化計画フェア』は、ただいま萩尾望都さん仕様となっており、ポップとネームが見られるとのこと
11月29日現在は追加ポップもあるとのことですが、2種のうちどちらかの展示でしょうか?

フェア開催書店は公式HPの最新NEWSでご確認を→コチラ

吉祥寺パルコの本屋さんは、まえは“パルコブックセンター”だったなー
高野文子さんの「絶対安全剃刀」や倉多江美さんの「ミトの窓」を買ったなー
などとふるいことを考えつつ普段は立ち止まる雑貨には目もくれず、地下2階へ

『長嶋有漫画化計画フェア』はレジ前でした
ちょっとホッとしました

今まで参加された作家さんのポップが配置され、ひと棚分がフェア棚でした
ポップはモノクロでふきだしの形に紙を切ったもの
萩尾望都さんのポップは、最新作「十時間」に出てくる姉妹の2バージョンがあるとのことですが
見に行ったときはお姉さんの方でした
「○○って、け○○だ~」一言コメント&サインの複写


ネーム公開は「十時間」の前編全23ページ分をB6の冊子にして、フェアー棚に紐で吊るしていました

ネームは、ほぼ、ふきだしの文字と擬音、簡単なコマ割りのみで、
絵は最初のページに影のように描かれているくらいなので見づらいといえば見づらい
そこは冊子につけられた表紙に書かれた長嶋有さんのコメントがうまく補っていました
ネームの見どころポイントを的確に明記

完成作品と吹き出しの位置に大きななずれがないとのコメントからも、
萩尾さんの頭の中に絵や登場人物の表情・ポーズなどが
すでにこの段階で、はっきりと明確に構築されているのが伝わります
そういえば表紙の「アタリ」もそのまんま…
掲載誌の『小説宝石11月号』がなかったので
作品とネームをその場で見比べることはできなかったのですが
たぶん初めて見る萩尾望都さんのネームは、「プロ」の創作の「場」を感じるには充分なものでした
よく見せてくださったと思います

『小説宝石 2011年11月号』「十時間」前編掲載

『小説宝石 2011年12月号』「十時間」後編掲載

「かわら版 4号」の無料配布は新聞風に縦に巻いてありました
作家のうめさんが主に取り上げられている内容
突発的に参加作家さんのサイン本が出るとの告知が「パラレル」期間限定公開の17ページにあるので、行ったときにあったらラッキー

new【1月24日更新情報追記】
「夕子ちゃんの近道」期間限定公開の13ページにフェア最新情報あり。


このあと、売り場をひとまわりして、コミック売り場で、ああああの御方のサイン本発見!
だから、いきごみのよい本屋さんって、好・きmaple

こんなマンガづくしの吉祥寺なのでした

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«高野文子さんの赤い服 (in 秋の吉祥寺 その1)

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